「The Healthy Programmer」を読んで自宅を快適なプログラミング環境にする

「The Healthy Programmer」を読んで自宅を快適なプログラミング環境にする

柄にもなく健康の話をします。

去年の今頃は京都から東京に引っ越してきたところでした。まだはてなで働いていましたが、勤務形態は自宅からのリモートが主になっていました。週に6日は家から出ずに家でコードを書いていました。昼から早朝まで書いて昼からまた早朝までコードを書くような、ある意味規則的な生活です*1

この間、生産性はかなり上がっていて、起きているときはもちろん、寝ている間も脳が活動を続け、睡眠中に考えたアイデアを唐突に起き上がってホワイトボードに書き込むみたいな状態でした。

しかし、1ヶ月くらいすると体調が悪くなってきます。なんか左脳の後ろ側が死んでるみたいな。

なんか脳が欠けてる感じがする

— fukamachi (@nitro_idiot) January 12, 2014

あと心臓が異常にバクバクする。座るのもきつくなってくるのでだいたいダメ人間ソファに沈んでHHKB叩いてるみたいな様子でした。

そして生産性も下がってくる。

リモート勤務を行うチームのマネジメントの難しさは最近よく語られるところですが、リモート勤務をする個人の話はそれほどは多くありません。特に健康についての難しさの記事とか見たことがありません。

新しく入った会社でも基本自宅でのリモート勤務なので快適な反面、健康問題は続きます。

The Healthy Programmerを手にする

そんなとき知人に推薦されて「The Healthy Programmer」という本を知りました。

The Healthy Programmer: Get Fit, Feel Better, and Keep Coding (Pragmatic Programmers)

The Healthy Programmer: Get Fit, Feel Better, and Keep Coding (Pragmatic Programmers)

Kindle版があったので早速買いました。3分の1ほど読んだあとにしばらく積ん読になっていましたが、最近改めて手にとって通読しました。

コードを書き続けるために健康になる

健康系の情報ってだいたい「運動しよう」とか「ダイエットしよう」とか「血圧を下げるには」とかいうものが多くて、むしろ栄養も血圧も筋力も足りてない系プログラマな僕には合いません。筋トレとか辛いし絶対したくない。家でじっとしてたい、みたいな。

The Healthy Programmerの違うところは、プログラマに特化していて、「コード書き続けたいよね? じゃあできるところからでいいから生活を改善してみない? ずっと座ってると腰痛くなったりして生産性落ちるじゃん?」みたいな気楽な感じです。

「健康になる」みたいな曖昧な目的ではなく、「コードを書き続けるために」という目的が一貫しているので好感が持てます。説教臭くないのも良い。

Exercise can increase your creativity, attention span, and ability to remember new concepts. Furthermore, reducing pain can help you focus and concentrate better.
運動はクリエイティビティを上げ、注意力を持続し、新しい概念を習得する能力を上げます。さらに、苦痛を減らすことは集中力を上げてより専念できることに繋がります。

表現もプログラマっぽく書かれているのも少し面白い。「健康をリファクタリングする前に、まずは自分の健康をユニットテストしましょう」とかナチュラルに出てきてちょっと笑えます *2

運動 ≠ つらいもの

でも、「そうは言ってもきつい運動とか毎日できる気がしないんですよね〜」と思いましたよね。

生まれてこのかた筋トレなんてしてないし、一番筋肉がある部分って心臓と横隔膜なんじゃね、っていう有り様なので、運動は嫌です。

そうやって身構えていたのですが、最初に出てくる運動が「散歩 (Walking)」です。

Walking is a powerful activity. It can stimulate creative thinking and it's the best way to bootstrap your health.
散歩はとても効力のある運動です。創造性を刺激し、あなたの健康をブートストラップする最良の方法です。

「1日8時間も座り続けている」というのがどれだけ健康リスクがあることなのかを説明し、「20分以上座り続けていてはいけない」と言っています。足を動かさないと足に流れた血が上半身まで戻って来づらくなるため、血の巡りが悪くなって脳に血液が回りづらい状態になるため、脳の働きも悪くなります。

歩くだけでなく、単に立つのも良いとされています。ずっと同じ姿勢をしているのが非常に良くないということだそうで。

立つ (Standing)

最近はIT企業でもスタンディングデスクを導入しているところもありますね。座り疲れたら立った状態でMacBookをカタカタやるやつです。

なので自宅にもカウンターテーブルを置きました。

AY ブルノハイテーブル AT-125CT(BR)

AY ブルノハイテーブル AT-125CT(BR)

こんな感じ。

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ただ、このカウンターテーブルはスタンディングデスクとして使うには高さが少し足りなくて、スタンディングデスクするときは適宜本を敷いています。

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立ち続けるのも良くない

とはいえ、ずっと立ってるのも良くないようです。膝に負荷がかかる。

Dr. Hedge recommends sitting for no longer than twenty minutes, but you shouldn't stand for longer than twenty minutes at a time, either.
ヘッジ博士は20分以上座り続けないことを推奨していますが、同時に20分以上立ち続けるべきでもありません。

立ったり座ったりを繰り返すのが良いようです。そのためにMacを移動するのも面倒なので、カウンターテーブルで立ったり座ったりする、というのをおすすめしています。

最近はスタンディングデスクやバランスボール (Exercise ball)が純粋に良いもののように語られることが多いですが、それも必ずしも良いというわけではない、たとえば足や腰を痛める可能性があったり、高血圧の人には悪影響、などの公平なアドバイスもあります。

ちなみにWobble Boardという、"スタンディングバランスボール"とでも言うべきようなものもあるようです。

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絶対家にあってもやらないと思ったのでこちらは買っていません。会社にあると面白いかも。

サイクリング (Cycling)

The Healthy Programmerの論調として、「○○をしたら健康になれる」というのはありません。だから歩けば良いとか、立てば良い、というわけではなく、重要なのは同じ姿勢を20分以上続けないこと

  • Work from at least three different positions every day.
  • Don't stay in any one position for longer than twenty minutes.
  • Keep more than one kind of chair your office -- a regular office chair, an exercise ball, a drafting stool, or even a cycling desk.

_

  • 毎日最低でも異なる3ヶ所から仕事をする
  • 20分以上同じ場所に留まってはいけない
  • オフィスでは1種類以上のイスを使うこと -- 普通のオフィスチェア、バランスボール、可動式のイス、さらに言えばサイクリングデスク

_

リモート勤務する僕にとっては自宅がオフィスです。普通のイスとカウンターテーブルは用意しました。

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あと一個か…。

というので、エアロバイクを買ってみました。

ALINCO(アルインコ) クロスバイク AFB4513

ALINCO(アルインコ) クロスバイク AFB4513

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ALINCOという会社が有名のようで、その会社の折り畳み式のエアロバイクです。「ジムのものと比べて負荷が軽すぎる」とか「30分以上連続稼働できない」とか書かれていますが、僕の場合は筋トレをしたいわけではないので問題ありません。っていうかこれ3分くらい漕いだら普通に疲れるんですが…。

漕いでいるときの音も異常に静かで、加湿器とかエアコンの音にかき消されて聞こえないくらいです。コンセントに繋ぐ必要もないし、来客のときは移動したり折りたたんだりできる。

リビングに置くのが割と重要だと思っていて、寒い外に出なくても、短時間でも気楽に運動できるのは良さそうです。

まとめ

The Healthy Programmerを読んだし、少し広めの家に引越したついでにいろいろ家に投資してみるか、と思って導入してみた話でした。

最近IT業界でも健康について語られることもありますが、「なぜ良いのか」とか「デメリットはあるか」とかがあまり語られず、曖昧に運動したほうがよさそうという程度にしか語られません。

その点The Healthy Programmerは最近の研究に基いて良いところ・悪いところを公正に書いているので読んでいてすっきりします。

今回は自宅の改善に関連するところだけ取り上げましたが、この本自体は幅広い内容を扱っています。

興味があれば読んでみてください。Kindleで読めます。

The Healthy Programmer: Get Fit, Feel Better, and Keep Coding (Pragmatic Programmers)

The Healthy Programmer: Get Fit, Feel Better, and Keep Coding (Pragmatic Programmers)

※追記: 翻訳版が今年の夏頃にオライリーから出版予定のようです。日本語で読みたい方はそちらを待つと良さそう。

現在翻訳中です。夏前にはオライリーから出ますよー。 RT @ikeike443: “「The Healthy Programmer」を読んで自宅を快適なプログラミング環境にする - 八発白中” http://t.co/3TUKSL0XRZ

— tamagawa ryuji (@tamagawa_ryuji) February 11, 2015

※追記: 日本語版が出たようです。

ヘルシープログラマ ―プログラミングを楽しく続けるための健康Hack

ヘルシープログラマ ―プログラミングを楽しく続けるための健康Hack

*1:この頃に生まれたのがLesqueIntegralCL21です。

*2:著者のJoe Kutnerさんは現役プログラマのようで、表現の選択のセンスも割と良い。